感染予防,そしてコントロールのマニュアル すべてのICTのために 第2版ダウンロード

感染予防,そしてコントロールのマニュアル すべてのICTのために 第2版

, 岩田健太郎

によって 岩田健太郎
4.2 5つ星のうち 2 人の読者
ファイルサイズ : 26.45 MB
内容紹介 「日本騎兵の父」と呼ばれる秋山好古は,日露戦争の黒溝台合戦で,自慢の騎兵隊の機 動力をあえて用いず,塹壕を掘って馬とともに潜り,銃撃戦に終始したという。戦線 が長すぎて,通常の騎兵戦術では守備できないと判断したかららしい。司馬遼太郎の 『坂の上の雲』にこのエピソードは非常に印象的に描写されているが,そのどこまでが 史実かどうかは知らないし,その点にはさしたる関心もない。 秋山が得意の騎兵力を活用しなかったのは,もちろん戦争に勝つためだ。騎兵を用 いるのは手段であり,目的ではない。より大きなビッグピクチャーが見えていたから こそ,あえて騎兵を用いず戦うという選択肢をとったのだ。そして,ここが重要なこ となのだと思うが「,騎兵を用いる」ということは「騎兵が苦手とするシチュエーショ ンを知悉している」ということでもある。騎兵を用いなかったという選択は,騎兵戦 術を熟知していたからこそできた選択であった。塹壕を掘るという選択肢と知識,技 術が必要だったのはいうまでもない。 感染症と対峙するときの感染防御と感染治療の違いについては前版の序文で述べ た。どちらが大事か,という命題は無意味で,どっちも大事に決まっている。しかし, 感染治療のコンセプトのままで感染防御はできない。馬で攻撃する技術だけでは「防 御」ができないように。適切な判断,適切な対応のためには防御に特化した知識や技 術が必要だ。本書の存在理由がここにある。 2014 年に西アフリカでエボラウイルス感染が大流行したとき,ぼくがシエラレオ ネに行ったときにWHO に与えられたミッションはInfection Prevention and Control であった。感染予防とコントロールである。当初は患者が収容された治療センター を訪問し,施設の感染対策の適切さをチェックする仕事を行っていた。手指消毒用の 次亜塩素酸の保管場所やつくり方,個人防護具(PPE)の着脱場所やマニュアル,患者 の導線など,一般的なところをチェックする仕事だった。ところが,そうこうしてい るうちに患者がどんどん増えてきて,他にもやらねばならないことが増えてきた。ス タッフのPPE 着脱教育,アウトブレイク調査やマネジメント,地元の医師会や病院 との交渉事,トイレの設置,果ては患者のケアまであれやこれやのことをやった。自 分で探しに行けば仕事はいくつもみつかったし,ぼーっと事態を傍観していたら何も できない状態でもあった。 アフリカでの感染対策は,日本でのそれとは全く違う。しかし,ミッションと原則 は全く同じである。若い頃から「,世界のどこにいてもプロとして通用する人間になる」 のが夢だった。場所が変わると機能しなくなる……ではダメで,あれがない,これが ないと嘆くのもダメで,ないならないなりにベストを尽くす。先進国でも途上国でも, 都市でも田舎でも役に立とうと思っているうちに感染症屋になった。感染症はした がってぼくのミッションのなかでは手段であって目的ではない。 セッティングが変わると仕事ができなくなるのは「,経験」と「習慣」を職能にしてい るからである。これだと,慣れた環境を失うと,すべてを失ってしまう。セッティン グが変わっても十全に仕事をするためには「原則」が必要だ。手指消毒の「原則」を理解 していれば,アルコール製剤が次亜塩素酸になっても機能できる。個室完備の一類感 染症指定医療機関でなくてもテントだけの施設でエボラと取っ組み合える。フルの PPE がなくったって,次善の策で感染を防御できる。遺体の管理,デマ対策,エボ ラ孤児のための居住施設管理もできる。 原則を学ぶための,一番シンプルな方法はオーセンティックな教科書を読むことで ある。もちろん,本書は「マニュアル」であるから「,こういうときは,こうやっとけ」 な本である。しかし,その標準的なオーセンティシティから「原則」は醸し出され,原 則は感得できる。何が重要なアジェンダで,なにがそうでないかも「大きな絵」,領域 の世界観のなかで理解できる。 本書の第3 版が出たのが2012 年,日本語版が出たのが翌年の2013 年である。本 書,第4 版の原書が出たのが2019 年だ。普遍的,一般的な原則は変わらないし, 2014 年エボラのような未曾有の体験を経た後に大いに変わったコンセプトも多々あ る。臨床現場でのコンセプトの賞味期限は長くて5 年というところであろう。新た な概念は当然得ねばならない。 本書は感染に関係するすべての医療者が読む価値をもつ。その職名や職域とは無関 係に。やっつけ仕事をしないために。大きなミッションにいつでも立ち返ることがで きるために。 2019 年12 月 岩田健太郎 出版社からのコメント 原理・原則を知れば、よりよい対策ができる。7年ぶりに改訂 感染制御の原理・原則をわかりやすく解説したテキスト、7年ぶりに改訂。内容が大幅にアップデートされ、単著として書かれた原稿を16人の各領域の専門家が精査、クオリティをさらに高めている。感染対策の基本コンセプトやプログラム構築の全体像にはじまり、アウトブレイク管理や医療関連感染、多剤耐性菌対策まで、全10章で詳細に解説。ICTのメンバーが知りたい基本的な内容をバランスよく網羅。感染対策に携わる医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師必読の書。 著者について 監修:岩田健太郎 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授 監訳:岡 秀昭 埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科診療部長/准教授 坂本史衣 学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネジャー 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 岩田/健太郎 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岡/秀昭 埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科診療部長/准教授 坂本/史衣 学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネジャー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 続きを見る

Serena Lire La Documentation En Ligne 2021

Téléchargez des livres électroniques gratuits pour les étudiants et lisez la bibliothèque en ligne @nessa.themedia.jp

0コメント

  • 1000 / 1000